健診で血圧が高いと言われたら?家庭血圧の測り方・目安と二次性高血圧を内科医が解説

医療

※この記事には広告(アフィリエイトリンク)が含まれる場合があります。

健康診断で「血圧が高い」と指摘される、実際に経験している方もいると思います。

日本における高血圧の推定患者数は約4,300万人にのぼります。

しかし、そのうち適切に血圧がコントロールされているのは約1,200万人(約27%)にとどまり、

残りの約3,100万人は未治療、あるいは治療中であっても目標値まで下がっていないのが現状です。

年齢とともに有病率は上昇し 70代以上では2人に1人が高血圧と言われるほど、加齢とともにリスクが高まります。

男女差は、50代までは男性の割合が高いです。女性は更年期以降に急増し、70歳ごろには男女差がなくなってきます。

頻度が高い高血圧ですが、薬や生活習慣病以外に何かできることはないのでしょうか?

今回内科医師の目線から、生活習慣病以外にありうる原因や注意点について解説していきたいと思います。

高血圧の種類:一次性と二次性、でもその前に、、

最初にやるべきこと:白衣高血圧の可能性を考える

健診の時に測定した血圧が高くても、本当に普段から血圧が高いかはこのワンポイントで評価はできません。

病院などで緊張してしまい、血圧が普段より高くなる人は珍しくありません。

「白衣高血圧」と呼ばれ 病院での緊張による上昇(白衣高血圧)か、日常的な高血圧かを見極めるため、家庭でリラックスした状態の測定が必須になります。

だいたい2週間から1か月の家庭血圧を測定し、実際に高いかどうかを判断します。

ここで高い数値が続いているようなら「高血圧症」となります。

一次性高血圧:生活習慣や年齢などからなっているもの

生活習慣の乱れや、年齢などから血管が固くなってしまい高血圧になっている状況を指します。

生活習慣の乱れだけならば、まだ多少の改善余地はありますが、多くの人はそこまで生活習慣が乱れていることは少ないと思います。

改善できる要因がなく血管の老化がすでにある高血圧は、投薬以外に改善方法はありません。

おおよその血圧の数値と治療方針の目安は次を参考にしてみてください。


【比較表:血圧値の分類と対応】

分類収縮期血圧(mmHg)拡張期血圧(mmHg)対応方針
正常血圧120未満80未満現状維持・定期検診
正常高値血圧120〜12980未満生活習慣の見直し着手
高値血圧130〜13980〜89生活習慣の改善・家庭血圧で確認
Ⅰ度高血圧140〜15990〜99生活習慣改善 + 専門医相談
Ⅱ度高血圧160〜179100〜109即受診・薬物療法検討
Ⅲ度高血圧180以上110以上直ちに医療機関へ(緊急性あり)

二次性高血圧の可能性:生活習慣に問題がない高血圧は二次性高血圧の可能性を考えます

健診で指摘された高血圧の原因が、食事や運動ではなく、他の隠れた病気にある状態を「二次性高血圧」と呼びます。

これは全高血圧患者の約10%(若年者ではさらに高い割合)に見られます。

原因となる病気を治療することで、血圧が劇的に改善し、高血圧症が完治するのが最大の特徴です。


確認ポイント

  1. 原因は「臓器の不調」や「ホルモン異常」: 腎臓の病気や、血圧を上げるホルモンの出し過ぎが主な原因です。
  2. 特定の検査で判別可能: 血液検査、尿検査、画像診断(エコーやCT)で原因を特定します。
  3. 根本治療で「薬いらず」になることも: 原因疾患を治療・手術することで、降圧薬を卒業できる可能性があります。

【疑われる代表的な3つの病気】

  1. 腎実質性・腎血管性高血圧: 腎臓のフィルター機能が落ちたり、腎臓への血管が狭くなったりして血圧が上昇します。
  2. 原発性アルドステロン症: 副腎という臓器から、血圧を上げるホルモンが過剰に出る病気です。実は「隠れ高血圧」の原因として非常に多いです。
  3. 睡眠時無呼吸症候群(SAS): 寝ている間に呼吸が止まり、体が酸欠状態になるストレスで血圧が急上昇します。

必要な検査と治療の流れ

  • ステップ1(検査): 血液・尿検査(ホルモン値の確認)、腹部エコー・CT(臓器の形態確認)、簡易睡眠検診。
  • ステップ2(治療): 内科的治療: ホルモンを抑える薬の服用や、CPAP(無呼吸の治療器具)の使用。
    • 外科的治療: 副腎の腫瘍など、原因が特定されれば手術で切除します

ホルモンの過剰分泌が原因の場合(原発性アルドステロン症)を疑っておこなう採血検査は、安静時の採血が必要です。

横になってもらい30分から1時間ほど待ってから採血して確認します。

動いているときは、常に血圧を変化させるホルモンが分泌されてしまっているので、なるべく基準値に近い状況を作ってから検査をします。

いつもより時間がかかるので、検査するときは余裕をもって行いましょう。

二次性高血圧は頻度が少なめであるので、見逃されていることもあります。

ただこの疾患による高血圧なら根治が期待できるので、診断できたときの価値はとても高いのです。

家庭血圧の正しい測り方

健診で1回高かっただけでは、高血圧とは決められません。日本高血圧学会は、家庭での血圧測定を勧めています。測り方は次のとおりです。

項目測り方
血圧計二の腕に巻く上腕式を選ぶ
朝起床後1時間以内、トイレを済ませ、朝食前・薬を飲む前
晩寝る直前
姿勢椅子に座り、1〜2分休んでから測る
回数1回の機会に原則2回測り、その平均を記録する
期間週5日以上測った結果を、受診のときに医師に見せる

家庭血圧の目安

家庭血圧は、診察室の血圧より低めに出るのが普通です。そのため、基準も診察室とは別に決められています。

区分家庭血圧診察室血圧
健康的な血圧(正常血圧)115/75mmHg未満120/80mmHg未満
治療中の方の目標125/75mmHg未満130/80mmHg未満
高血圧と考える目安135/85mmHg以上140/90mmHg以上

正常血圧と治療目標は、日本高血圧学会の「高血圧管理・治療ガイドライン2025」によるものです。2025年版では、治療の目標が年齢にかかわらず診察室血圧130/80mmHg未満、家庭血圧125/75mmHg未満とされました。

「仮面高血圧」にも注意

診察室では正常なのに、家庭で測ると高い状態を仮面高血圧といいます。日本高血圧学会は、仮面高血圧の危険度は、ふだんから高い高血圧と同じかそれ以上だとしています。健診の血圧が正常でも、家庭で高い値が続く場合は受診してください。

逆に、診察室だけで高い白衣高血圧は、今のところ大きな問題はありません。ただし、将来ふだんの血圧も高くなることがあるため、定期的な確認が必要です。

血圧のよくある疑問

Q. 健診の前だけ血圧が上がる。緊張のせい?

その可能性はあります。だからこそ、家庭血圧で確かめることが大切です。家庭で測っても135/85mmHg以上が続く場合は、緊張だけでは説明できません。

Q. 頭痛やめまいがなければ、放っておいてもいい?

高血圧は、ほとんど症状が出ません。症状がないまま、脳卒中や心筋梗塞のリスクが上がっていきます。症状の有無ではなく、数値で判断してください。

Q. 若いのに血圧が高いと言われた

若い方の高血圧では、この記事で紹介した二次性高血圧(原発性アルドステロン症、腎臓の病気、睡眠時無呼吸症候群など)が隠れていることがあります。一度は内科で原因を調べてもらうことをお勧めします。

参考資料

まとめ

  • 血圧が高いと言われても、まずは常に高いか一定期間確認をする
  • 生活習慣を見直し、できることからやってみる
  • 二次性高血圧の可能性を考慮して検査を行う

Ⅱ度高血圧で症状がある(頭重感、顔がほてるなど)場合や、Ⅲ度高血圧であれば投薬を優先していきます。

それ以外であれば投薬をせず状態評価を優先します。

常時高い状況が確認されれば、そこで投薬を始めて正常範囲を維持するようにしていきます。

高血圧は症状がない「サイレント・キラー」と呼ばれています。

高血圧症は放置せず、投薬をしてでもできるだけ正常値をキープするようにしていくことが、健康で長く過ごすことができる一つの手段になります。

漫然と薬を使い続けるのも良くありませんが、疑問点があれば普段投薬されている医師に確認してみましょう。


情報参照元(公的統計・一次情報)

  • 日本高血圧学会『高血圧治療ガイドライン2019』
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット『高血圧』
  • 日本内分泌学会『原発性アルドステロン症 診療ガイドライン』

生活習慣病関連記事:こちらもご覧ください

・生活習慣病で薬を始めるとやめられない 本当? 都市伝説?

肥満症・脂質異常症

・健康診断でコレステロールが高いと言われたら?脂質異常症について原因と改善方法を内科医師が解説します

・消化器内科医が徹底解説:現在の肥満「症」治療

高尿酸血症・痛風

・尿酸値が高いといわれた時に読んでください:尿酸値が高いと言われたら?原因・食事・放置するリスク・薬の種類まで徹底解説

糖尿病:食事・運動療法中心に

・【糖尿病の運動療法】血糖値をコントロールする効果的なやり方と注意点

・【運動とセットで!】糖尿病・食事療法の基本ポイント:食事療法の単位とは? どのくらい食べていいの? 間食は?

高血圧 

・高血圧で薬を飲んでいるのに熱中症予防で塩分は取っていいの?:熱中症と血圧の意外な関係、降圧薬との付き合い方を内科医が解説

・ 健診で「血圧が高いね」と指摘。薬と生活習慣の改善以外に何か気を付ける点は?内科医師が解説

・高血圧 生活習慣の改善でどのくらい下がる? 一番下がる生活習慣の改善は? 具体的な方法は?

この記事を書いた人
杉本 大(Dai Sugimoto)医師

総合内科専門医/消化器病専門医/消化器内視鏡専門医/プライマリ・ケア認定医

救急から慢性期まで、21年以上にわたり一般内科・消化器内科・消化器内視鏡の診療に携わっています。臨床の傍ら、MedicalDOC・m3.com・LifeStar などで医療記事の執筆、医学監修を行っています。

医療記事の執筆・医学監修のご依頼を承っています

内科・消化器内科を中心に対応。監修は1本あたり3〜4営業日、執筆は1本1週間が目安です。

実績・ご依頼方法を見る →

X(@dai217S)をフォローする

医療
シェアする
sugi0217をフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました