尿検査は、痛みもなく「腎臓・糖尿病・尿路の異常」を早期発見できる、最もコストパフォーマンスの高い検査の一つです。
学校健診でも行われているので、一度はみなさんも経験したことがあると思います。
その時、「尿蛋白(+)だったので再検査をしてください」というお知らせを受け取ったという経験をありますか?
今まで病気もしたことがないのに腎臓が悪いの?という漠然とした不安がよぎったと思います。
尿蛋白(+)の時、確かに腎臓を中心とした病気を疑います。
ただ、必ずしも病気でないとき場合もあるのです。
今回は尿蛋白(+)になったとき、どんなことが考えられるかを、内科医師の目線から解説していきたいと思います。

尿蛋白(+)でも必ずしも病気であるわけではない
尿蛋白陽性は、必ずしも病気を意味するわけではありません。
健康な人でも一時的に発生する「生理的蛋白尿」があります。
時間・条件を整えたうえで再検査し、持続的に蛋白尿があるかの確認をまず行います。
チェックポイント3点
健康な人でも陽性に?
激しい運動、発熱、ストレスなどで一時的に腎臓のフィルター機能が追いつかず、蛋白が漏れ出ることがあります
若年者(学生時代)では起立性蛋白尿、運動性蛋白尿、環境変化の影響(発熱、寒さ、ストレス)のどれかで起きる「生理的蛋白尿」がほとんどです。
- 起立性蛋白尿:直立姿勢を続けることで腎臓の血管が圧迫され、蛋白が漏れ出す現象、やせ形の人に多い。健康な小児の0.65%に認められたという報告。
- 運動性蛋白尿:部活などの激しい運動によって、腎臓への血流が一時的に変化したことでフィルター機能の一過性低下によるもの
- 環境変化:高熱、寒冷刺激、精神的ストレスなどによるもの。スタチンという脂質異常症の薬を飲んでも一時的に蛋白尿が出る報告もあり。
寝起き一番の尿(早朝尿)が姿勢の影響を受けない状態なので、検査に適しているといわれています。
ただし、前日に激しい運動などしていると影響が出てしまう可能性はあります。
量と持続性が重要
一時的なものであり、再検査で異常がなければ問題ないと判断しますが、再検査でも陽性であると、持続性蛋白尿の疑いとして考えます。
その時は腎臓のフィルターが損傷している可能性を考慮します。
蛋白尿の量を知るうえで、尿蛋白と尿クレアチニンを同時に測定します。
その比(尿蛋白/尿クレアチニン)が0.15g/gCr以上なら、病的な蛋白尿の疑いとなり、さらに追加検査を計画します。
追加検査は質と原因を確認していく
尿沈渣(尿に含まれる細胞を顕微鏡で確認)、血液検査(腎機能の目安となるクレアチニンなど)や、実際に尿蛋白がどのくらいの量で漏れているのか、一日尿をためて測定するなどで確認します。

たとえ話:尿検査は「コーヒーフィルター」の点検
腎臓は、体の中にある高性能な「コーヒーフィルター」のようなものです。
健康なら、コーヒーの粉(体に必要な蛋白や赤血球)はフィルターで越され、きれいな液体(尿)だけが出てきます。
しかし、フィルターが破れたり(腎炎)、粉が多すぎたり(高血糖)すると、本来出てはいけないものが混じります。尿検査は、このフィルターが正常に動いているかを確認する作業なのです。
尿検査の主要項目比較表
| 項目 | 判定が陽性(+)の場合の疑い | ベンチマーク(一般的な正常値) | 備考 |
| 尿蛋白 | 腎炎、ネフローゼ、過労 | (-)陰性 | 激しい運動後に出ることもあります |
| 尿糖 | 糖尿病、甲状腺機能亢進 | (-)陰性 | 食後の採尿で(+)になる場合があります |
| 潜血 | 尿路結石、膀胱炎、腎がん | (-)陰性 | 生理中などは偽陽性になりやすいです |
| ウロビリノーゲン | 肝機能障害、溶血性貧血 | (±)擬陽性 | 正常でもわずかに出ることがあります |
持続性蛋白尿だった場合
尿を再検しても、蛋白尿が持続していた。このときはどのような流れになるのでしょうか。
一般的には尿蛋白定量(実際にどのくらい蛋白が漏れているかを測定)と血液検査(腎機能評価)を行い、一過性や起立性蛋白尿を除外した上で、CKDの診断基準に照らし合わせて専門科などへの受診を検討します。
エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023では、尿蛋白(1+)以上を医療機関への受診勧奨とし、尿蛋白(±)が2年連続みられた場合も受診推奨とされています。
尿蛋白を測定するには、まる1日尿をためてその中に含まれる蛋白を測定するのが一番確実な方法です。
ただこれはかなり手間であり、結果が出るまで数日かかります。
そこで随時尿の尿蛋白・クレアチニン比(g/gCr)で評価することが推奨されます 。
検査するときに出した尿の中に含まれる蛋白量と尿クレアチニンを同時に測定し、その比をとると1gのクレアチニン排泄量当たりの尿蛋白量(g/gCr)がわかります。
この値が1日の尿蛋白と相関することがわかっており、0.15以上なら更なる精密検査を考慮します。
血液検査では、血清クレアチニン値を測定し、eGFRを算出して腎機能を評価します 。
尿沈渣検査により、血尿の有無、赤血球形態(変形赤血球や赤血球円柱の有無)を確認し、糸球体性血尿か非糸球体性血尿かを鑑別します。
尿蛋白が0.15以下だったとしても血尿が同時にあるようなら、腎疾患の可能性があるので更なる精密検査を考慮します。
精密検査:腎生検が多く行われている
尿蛋白0.5 g/日以上1.0 g/日未満の場合、一過性や起立性の蛋白尿を除外した上で、さらに血尿がある場合は病態把握や治療介入のために腎生検を検討されます。
腎生検ガイドブック2020では、蛋白尿0.5 g/日以上(または尿蛋白/クレアチニン比0.5 g/gCre以上)の場合、良性蛋白尿(一過性蛋白尿や起立性蛋白尿)を除外した上で行うように推奨されています。
一般的な条件は1.0 g/日以上の蛋白尿が持続する場合とされています 。ネフローゼ症候群(尿蛋白3.5 g/日以上かつ低アルブミン血症3.0 g/dL以下)では、治療開始前に原因疾患を特定するため、原則として腎生検を施行します 。
一般内科に行くべき?腎臓専門内科のほうがいい?
医療機関への受診勧奨基準
エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023では、以下の基準で医療機関への受診を勧めています。
- 尿蛋白(1+)以上
- 尿蛋白(±)が2年連続
- eGFR 45 mL/分/1.73 m²未満(CKDステージG3b以降)
- 40歳未満では、eGFR 60 mL/分/1.73 m²未満(CKDステージG3a)
尿蛋白(±)の対象者には生活習慣の改善と状況に応じ保健指導の対象とし、翌年の特定健診で2年連続尿蛋白(±)の場合には医療機関への受診を勧めます。
腎臓内科専門医への紹介基準
血尿に蛋白尿(尿蛋白/クレアチニン比0.15 g/gCr以上)や腎機能低下を合併している場合は、進行性の腎臓病の可能性が強く示唆されるため、早急に腎臓内科専門医に紹介します。
蛋白尿を伴う顕微鏡的血尿は末期腎不全のハイリスク群であり、腎生検による病理診断に沿った適切な管理を行うことで腎機能予後の改善が期待されるため、腎生検を考慮します。

生活習慣病と腎臓病
尿蛋白(±)であっても約60%が微量アルブミン尿(A2)相当以上の蛋白尿であることが報告されています((±)でもだいぶ腎臓が痛んでいる可能性がある)。
高血圧や糖尿病に罹患した健診受診者で尿蛋白(±)となったら、より末期腎不全・脳血管障害や心血管障害による死亡・全死亡など重篤なイベントの強力なリスク因子があるというとらえ方になります。
定期的な評価とより積極的な治療介入が重要になってきます。
生活習慣病のある人は半年に1回は尿検査も実施して、適切に管理できるようにしていきましょう。
まとめ
尿蛋白(+)の時に、どのようなことを考え、対応をしていくかを解説してきました。
学生時代に尿蛋白(+)は生理的蛋白尿のことが多く、基本は問題なしとなりやすいです。
しかし稀ではありますが、腎臓病のこともあるので再検査が大事になります。
生活習慣病があると、尿蛋白(±)があると、より血管にダメージが出ているという判定になり、より注意深く管理が必要になる一つの目安になります。
検査時にタイミング悪く排尿してきたばかりで出せないこともあると思いますが、目安半年に1回で確認してみてはいかがでしょうか。
今回は尿蛋白を中心に解説しました。次回は尿潜血について解説してみたいと思います。
情報参照元
- 厚生労働省「e-ヘルスネット:尿検査」
- 日本予防医学協会「検査結果の見方」
- 一般社団法人 日本臨床検査医学会 ガイドライン
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