現在肥満(BMI≧25)といわれる人数は、2022年の統計で男性31.7%、女性21.0%といわれています。
日本の成人人口を約1億人とすると、だいたい2500~3000万人に当てはまります。
肥満「症」とは、肥満+高血圧や糖尿病などの生活習慣病や内臓脂肪蓄積からの健康障害のリスクを持つ状態の人であり、数百万人規模といわれています。
肥満「症」は病気の1つであり、治療ガイドラインも設定されています。
食事・運動をしっかりやったうえで、それでも目標に達しない場合のみに今回の薬物療法や手術加療の検討となります。
美容目的などで薬を使用することは、薬の副作用などで体にとって害悪となる場合があります。基本は推奨しません。
正しく投薬すれば、生活習慣病の改善に向けて大きな手助けになるものです。
今回の記事がその一助になるはずです。

結論:目的別の最適解
- 「生活習慣を整えつつ、自力で一歩踏み出したい」 なら アライ(内臓脂肪減少薬)
- 「医療の力で確実に、かつ手術なしで大きく減量したい」 なら ウゴービ(GLP-1受容体作動薬)・ゼップバウンド(GIP/GLP-1受容体作動薬)
- 「高度肥満で、リバウンドを繰り返したくない根本治療」 なら 手術治療(肥満代謝手術)
それぞれの特徴
- 期待効果の差: アライ(内臓脂肪の減少が数%=体重減少効果として3-5%)、ウゴービ・ゼップバウンド(体重減少効果は10-15%超)、手術(体重減少効果は25%超)と、強度が明確に異なります。
- 継続の必要性: 薬物治療は「継続」が前提ですが、手術は「一回」で劇的な体質改善を狙います。薬物療法の場合、終了・中止したらリバウンドするリスクもあります。
- リスクとコスト: アライは手軽ですが下痢等の副作用があります。ウゴービやゼップバウンドは作用が強い分、身体的な負担が大きいことと費用面が高価になっていきます。手術は最も効果的ですが外科的リスクが手術時、術後にも残ります。
肥満治療比較
【比較表】3つの治療法の違いが一目でわかる
| 項目 | アライ (Alli) | ウゴービ・ゼップバウンド | 手術治療 (LSG等) |
| 分類 | 市販薬(要指導) | 注射薬(処方薬) | 外科手術 |
| 期待減量幅 | 体重の数%(内臓脂肪中心) | 体重の約10〜15% | 体重の約25〜35% |
| 主なメリット | 処方箋なしで購入可能 | 強力な食欲抑制効果 | 糖尿病等の劇的な改善・維持 |
| デメリット | 油漏れ、下痢の可能性 | 吐き気、高コスト、継続必要 | 手術・麻酔のリスク、食事制限 |
| 対象者 | BMI 25以上、腹囲制限あり | 肥満症、2型糖尿病 | BMI 35以上(高度肥満) |
ポイント: 「効果の高さと治療のハードルは比例する」
アライ:自分で始める「脂肪ガード」
アライは、食事に含まれる脂肪の約25%を便として排出する薬です。
- 特徴: 日本初の「内臓脂肪減少薬」として薬局で購入可能。
- 強み: 医療機関に通わずに「脂肪の吸収を防ぐ」習慣をサポート。
- 注意点: 脂肪分がそのまま便に出るため、「油漏れ」対策(おむつやパッド)が必要になる場合があります。
注意点にある副作用は、50日以内に大体消失するといわれています。脂肪分が減る影響と食事内容も、徐々に変わっていくことが要因です。
ウゴービ・ゼップバウンド:最新の「痩せホルモン」注射
ウゴービ・ゼップバウンドは、2つのホルモン(GLP-1とGIP)に働きかける最新の注射薬です。
- 特徴: 脳に「お腹がいっぱい」という信号を送り、胃の動きをゆっくりにします。
- 強み: 臨床試験で1.5年で週1回投与をしたところ、10-15%以上の減量データが得られました。そのため手術に近い効果が期待できます。
- 注意点: 自由診療では月数万円〜と高価。使用を止めると食欲が戻り、リバウンドするリスクがあります。
具体的な摂食変化としては、
- 1,食事量が減った
- 2,お腹がすかない
- 3,間食をしなくなった
- 4,投与前は食べ物が1日中頭に浮かんでいたが、食べ物のことを考えなくなった。
一方で継続不能となった理由には、「投与後水も飲めなくなった=強い嘔気」、「頭痛とめまいが出て動けなくなった」というものがあります。
手術治療:体の構造を変える「根本治療」
胃を小さくするなどの手術(スリーブ状胃切除術など)を行います。
- 特徴: 物理的に食べられる量を減らし、ホルモンバランスを劇的に変えます。
- 強み: 最も減量効果が高く、長期間維持されやすい。糖尿病の完治率も高い。
- 注意点: 全身麻酔を伴う手術であること、一生にわたるビタミン摂取や食事の工夫が必要です。
肥満治療は「家の片付け」のようなもの
肥満治療を「家の中に溜まったゴミ(脂肪)」を片付けることに例えてみましょう。
- アライ: 玄関に置く 「高性能な泥落としマット」。新しく入ってくるゴミ(脂肪)を物理的に防ぎますが、家の中を勝手に掃除はしてくれません。
- ウゴービ・ゼップバウンド: 「最新のプロ仕様・お掃除ロボット」。入るゴミを防ぎつつ、家中を回って強力にゴミを捨ててくれます。ただし、電池(薬)が切れると止まります。
- 手術: 「家のリフォーム」。収納スペースを小さくし、ゴミを溜められない構造に変えます。一度行えば効果は永続的ですが、工事(手術)の決断が必要です。
それぞれの薬の臨床データ・費用面など
アライ(オルリスタット)の現状
厚生労働省により承認され、2024年から販売が開始されました。
- 一次情報: 臨床試験において、1年間の服用で腹囲が平均4.73cm減少(大正製薬データ)。
- コスト: 1ヶ月分で約8,000円〜9,000円。
ウゴービ(セマグルチド)・ゼップバウンド(チルゼパチド)の威力
ウゴービ・ゼップバウンドは「GIP/GLP-1」のダブル作用が特徴です。
- 一次情報: SURMOUNT-1試験では、最大用量で22.5%(平均24kg)の減量を記録。
- 比較対象: 先行薬「ウゴービ(セマグルチド)」が10-15%程度の減量に対し、「ゼップバウンド」(チルゼパチド)はより高い数値をだしました。
- 費用:ゼップバウンドは容量によって変化しますが、最大量目安で保険ありの場合でも、月10000円~15000円の薬価がかかります。
外科的手術の有効性
- 統計: 高度肥満患者において、手術から10年後も20%以上の減量を維持している割合が非常に高い(日本肥満症治療学会)。
- 保険適用: 日本ではBMI 35以上、またはBMI 32.5以上で合併症(糖尿病など)がある場合に保険が適用されます。

まとめ
肥満「症」に対する薬物治療、手術治療の概要について解説しました。
BMI≧35の高度肥満では、20%以上の減量が得られれば、糖尿病などの薬が不要になったという方向もあります。
一方でBMI≧30では、減量後にホルモンバランスを一定にしようとする作用が働き、リバウンドしやすい体質になっていくともいわれています。
基本は食事・運動療法であることを忘れずに、うまく治療薬を併用して、より健康的な生活を過ごせるようにしていきましょう。
繰り返しますが、肥満「症」ではない人に、薬物治療は危険です。唯一肥満「症」予防という範囲で、アライは考えてもいいと思いますが、他の投薬を美容目的で使うことは推奨されていませんのでご注意を。
まだ肥満にもあてはまっていないものの、内臓脂肪やおなかの出っ張りが気になるようなら、別のサプリメントもあるので、自分にあってものを探してみましょう。
👇は一例です。

参考資料
- 大正製薬「アライ」製品情報
- 日本肥満症治療学会「肥満症診療ガイドライン」
- Eli Lilly “SURMOUNT-1” 臨床試験データ
- 厚生労働省 医薬品承認情報

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