良性・悪性はどんなもの? たくさんあるときも?
消化管の領域で、ポリープと呼ばれる盛り上がった病変で代表的なものは、「胃ポリープ」、「大腸ポリープ」、「胆のうポリープ」の3つです。
今回は「胃ポリープ」について解説します。
公的機関などから、胃バリウム検査の案内が来ていることもあると思います。
実際に胃バリウム検査を受けて、「胃にポリープの疑い」と書かれ、内視鏡検査を受けてくださいとあった場合、皆さんはどう思われますか。
「なにも症状もないから平気じゃない?」
「癌なの?不安だわ、だけど、内視鏡はつらいんじゃない?」
「良性とか悪性とかどうやってわかるの?」
「ポリープがたくさんあるって言われました」など、いろいろ疑問が出てくると思います。
このページだけで全ての疑問が解消しますので、安心してください
今回はバリウムで胃ポリープを言われたときに、内視鏡検査を受けたらどんなことがわかるかを解説したいと思います。
検診は「あくまで検査を受けるきっかけ」であり、なるべく精密検査を受けるべき人を拾い上げて、早期発見を目指しているものです。
過度な心配も不要ですが、検査を受けないという選択も勧められないということがありますので、より自分の中で理解できるようにしましょう。

胃ポリープとは:原因、症状など
ポリープとは、皮膚や粘膜の表面が盛り上がった、こぶ状や球状の組織の総称です。
形から呼ばれている総称であり、胃の粘膜から盛り上がったものをすべて胃ポリープといいます。
胃の粘膜表面には、痛みを伝える神経はないため、特にポリープができたからといって痛みを伴ったりすることはありません。
無症状が大半です。
原因は、そのポリープの種類によって異なり、慢性胃炎(ピロリ菌感染)に伴うものや薬によるもの、正常な粘膜からできるものなど様々です。
ポリープの形や大きさ、数などから、ポリープの種類を推定し、悪性かどうかを区別するには生検(組織を一部削り取って、顕微鏡検査で見ること)が必要です。
そのため、ポリープの性質を判断するにはバリウム検査では難しく、胃カメラでの検査が必要になります。
検診胃バリウム検査でのがん発見率
報告されている例で、R4年度の松戸市の胃がん検診において胃バリウム検査のみでの胃がん発見率は0.05%でした。
同年の胃カメラでの発見率は0.9%であり、バリウムのみで胃がんとわかるにはかなり稀であることがわかります。
別記事:バリウムと胃カメラのどちらが良いかで、解説しています。良ければそちらもご覧ください。
バリウム検査で胃ポリープ→内視鏡では主に3つに分類
バリウムでは胃の内側に飛び出ているものがあれば、小さいもの(目安1cm未満)はポリープと表記されやすいです。
1㎝以上は腫瘍と表記されることが多くなります。
しかし、そのポリープがどういう性質を持っているかはバリウムではわかりません。
そのため、そのポリープがどんな形状をしているかなどを見るために内視鏡を行います。
内視鏡で主に3つに分けられます。

胃底腺ポリープ
胃の上部や中央付近に存在する胃底腺という分泌腺が増殖して、大きくなります。
ただ、大きさは2-5mm前後で半球状、色は周りの正常粘膜と同じ色をしています。
複数あることもよくみられますが、癌になることはごく稀です。
ピロリ菌のいない、正常な胃粘膜にできることが多いです。ある意味「健康的な胃」の証拠でもあります。
ただポリープの形状が崩れていたり、色調がブルーベリー様だったりすると癌細胞が混ざっている可能性も出てくるので、数年に1回は内視鏡検査で確認するようにしましょう。
また薬剤の影響でこのポリープができることもわかるようになってきました。
プロトンポンプ阻害薬と呼ばれる胃酸を強力に抑制する薬で、長期的に継続投薬すると、半球状よりも水風船のような少し大きめのポリープができます。
この場合、薬を変更・中止するとポリープも減少・消失することがいわれています。
過形成ポリープ
主に慢性的な胃炎(代表例:ピロリ菌感染)による長期的な炎症が原因で、局所的に粘膜を障害・再生を繰り返すことで、過剰に増殖していき、隆起していきます。
炎症が原因なので、通常は良性のものです。
内視鏡でみると、周囲より赤みが強く、表面に粘液や白苔が付着していることがあり、いちごのような凹凸がみられることもあります。
表面は少し脆い構造のため、食物や胃炎で表面が傷つくと出血しやすく、貧血の原因になることはあります。
また大きくなると(目安2㎝以上)、癌化する可能性があります。
そのため内視鏡での定期的な経過観察が推奨されます。
ピロリ菌が原因の過形成ポリープであれば、除菌治療で炎症をなくせば、縮小・消退が期待できます。
胃腺腫・胃がん
胃腺腫はがん細胞ほどではありませんが、時間をかけて自己増殖する能力を持つポリープです。
炎症とは関係なく、大きくなっていき、将来的には癌細胞に変化する可能性もある病変です。
内視鏡でみると、白色調の平坦な隆起が多く、他の粘膜との境界ははっきり分かれています。
内視鏡での治療もしやすい病変ですので、発見できたら切除を含めた治療計画を立てていきます。
胃がんは、ポリープの形態をとるものから、くぼみを伴うものなど多彩な形を取ります。
サイズが大きい、表面が発赤調でごつごつしている場合は可能性が高くなります。
胃がん全体の割合からはポリープのような隆起型は少なめです。
くぼんでいる形の方が多いので、小さいものをバリウムで発見するのは難しいのが現状です。
胃がんの疑いがある場合は、基本切除をする計画を立てていきます。内視鏡で切除可能かどうかも含め、よく検討していくことになります。
まとめ
胃バリウム検査でポリープありと指摘されたときに、内視鏡で検査すると3つの種類に分類されやます。
その中に胃がんがありますが、バリウムでポリープと書かれていて、胃がんだったという結果はかなり少なめです。
胃がんはバリウムではわからないタイプの方が多いので、胃がん検診(胃がんを見つける)という意味合いでは、内視鏡の方が有効です。
バリウム検査で胃ポリープと指摘されても、そこまで不安になることはないと思います。
しかし、今まで内視鏡検査をしていないのならば、一度は内視鏡検査もうけることをお勧めします。
そこでピロリ菌の感染なども把握できるので、より胃がんに対してリスクを下げるアプローチができるかもしれません。
今回は胃ポリープについて解説しました。次回は大腸ポリープに関して解説します。


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