皆さんも抗生物質と聞くと、非常によく効く薬 や 強い薬 というイメージを持たれている方のではないかと思います。
「抗生物質があれば、ほぼ何でも効果あるんでしょ」
「症状がつらいから抗生物質をください」とお考えの人もいると思います。
市販薬にはない成分であり、入院するような病気の時に使われることが多いことも理由だと思います。
さて、かぜ症状で抗生物質は効果があるのでしょうか?
大部分の場合、抗生物質がかぜ症状を治す起点にはなりません。
また抗生物質による副作用から違う症状(下痢など)の誘因になる可能性すらあります。
最近はかぜ症状で抗生物質を出す医療者も減っているはずですが、患者さん側から希望される場合もまだ経験します。
今回、かぜ症状で抗生物質は基本不要であることと、必要な時はどんな症状なのかをお話しします。

かぜ症状:原因は?
かぜ症状一般の内容については、別記事:風邪とコロナの違いー病院でできること・わかることで解説しています。
原因として8割以上はウイルス性によるものであり、細菌由来ではありません。
抗生物質は細菌に対して効果を出す薬なので、ウイルス性の症状には無効です。
抗生剤が効く可能性のあるかぜ症状とは?
典型的なかぜ症状ではない可能性が高いです。有名なのが溶連菌感染です。
ただこの場合も熱とのどの痛みが強く、咳がないことが典型的であり、典型的なかぜ症状とは異なります。
あとは扁桃腺炎も中に膿の塊ができてしまうようなときは、細菌が関与している可能性があります。
こちらも、強いのどの痛みと発熱で、咳は少ないです。
鼻の症状が強いようなら副鼻腔炎、
咳・痰がらみが多いようなら気管支炎・肺炎などの下気道由来と、
原因となる細菌がどこで増えているかで症状が出るため、限定的な症状ならば抗生物質の出番があるかもしれません。

溶連菌感染
溶連菌感染を疑う症状は発熱(38度以上)・悪寒、扁桃腺の腫大・白苔付着、前頚部の押すと痛むリンパ節腫大、咳がないの4点で、
すべて当てはまると50%の確率で溶連菌疑いとなるので、抗生物質投与が検討されます。
子供ならより疑いが強くなりますが、45歳以上ならすべて当てはまったとしても、疑い濃厚とはいえません。
この症状がすべて当てはまることは、かぜ症状全体からすると、比較的少ないほうになると思います。
上記症状が2-3個の場合は、迅速検査を行います。
そこで陽性が出れば、抗生物質の出番を考えます。
一方で症状が当てはまらないのに、検査をすると溶連菌の反応が出ることもあります。
その場合は偽陽性を考えないといけません。
大人場合、症状が当てはまらないようなら検査をしないほうが、判断に悩まないかもしれません。
急性扁桃炎
喉の奥にある扁桃腺に感染が起きることです。
ウイルス性でも起こることがありますが、前述の溶連菌由来や口の中の常在菌が悪さすることもあります。
絶対的に抗生物質が必要かといわれると、怪しいところはありますが、使用されることが多いです。
扁桃腺は大きなリンパ腺ともいえるので、症状緩和という意味で、腫れを減らすためにステロイドを使用することもあります。
ステロイドは長期投与をすると必ず副作用が出るため、数日内に終わるように使用します。
また片方が急激に腫れていたりすると、扁桃腺の中に膿瘍(膿の塊)ができることもあります。
その場合は耳鼻科的処置(排膿する処置)や扁桃腺の摘出術も考慮されます。
扁桃腺炎を短い期間で繰り返す場合も手術を検討します。
副鼻腔炎
鼻の症状(鼻汁、鼻づまり、鼻汁がのどにながれてくるなど)が強く、のどの痛みが軽度などであれば、副鼻腔炎も可能性として出てきます。
こちらは主に鼻のほうに多くいる細菌が原因となりやすいため、抗生物質の種類を変える場合もあります。
副鼻腔は、構造上空洞なところで、そこに鼻汁などがたまり、細菌が繁殖するという流れのため、治りにくいことも多いです。
その時も耳鼻科的処置が必要になる場合があります。
下気道感染:気管支炎・肺炎
のどの痛みよりも咳や痰がらみ、息苦しさが中心の症状です。
かぜよりも症状が強くなり、本人のしんどさも増していきます。
ウイルスよりも細菌による原因が多くなるため、基本は抗生物質を使う治療になります。
ただウイルス性肺炎もコロナウイルスなどが原因で起こることがあります。
肺炎自体は、様々な原因で起こるため、治療をしてても慎重に経過を見る必要があります。

まとめ
典型的なかぜ症状ならば、抗生物質は不要といえます。
典型的でないかぜ症状もどきの場合は、状況に合わせた診察、検査をしたうえで、可能性が高いようなら抗生物質を使うことになります。
自己判断は難しい場合もあり、症状がつらいようなら病院受診を考えるようにしましょう。


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