病院でかかる医療費のお話 第1回:風邪症状 重症な場合も含めて 

医療費

皆さんは、病院を受診しお金を払った後、その時にもらう領収書や診療明細書をよく見たことはありますか?初診料やら検査・診断料、処方料などが書かれており、単位は点となっています。保険診療では、「各医療行為ごとに何点」と国がこの点数を決めています(診療報酬点数)。

現在は1点=10円の換算で計算されています。それが医療費となっていますが、皆さんが実際に払う額は、公的保険によって3割負担(人によっては、2割や1割)に軽減した後で請求されている仕組みです。

ただ、どんな医療行為がそれぞれ何点=いくらになっているかご存知でしょうか?病院の診察時に確認しにくいのが現状です(そもそもどのくらいの検査、治療になるかの判断が診察してからになる)。

今回第1回目として、外来初診の場合を例にとり、どんな費用が診察するだけでかかり、さらに検査・治療に関してどのくらい追加費用となるのかを解説します。細かいところは、診療所・病院ごとで異なりますので、あくまでおおよその目安として考えてください。

風邪症状で外来にかかったときの、かかる費用予測

  • 初診料:300点前後→約3000円 実費で1000円の負担
  •     大病院で直接かかると+7000円ほど(保険と別料金・選定療養費)
  • コロナ・インフルエンザ迅速検査:平均で約4000円前後 実費で約1300円
  • 採血:平均で約5000円 実費で約1500円
  • レントゲンやCT:レントゲンだけなら約2000円程度 実費で約600円
  •         CTまでやると追加で約10000円前後 実費で約3300円追加負担
  • 点滴・解熱剤点滴など:手技代なども含めると約2500円程度 実費で約750円前後
  • 処方箋代:約600円 実費では約180円の負担
  • 診察のみであれば、3割負担の実費約1100円前後、検査や点滴をすべて行った場合は、実費で約9000円前後の予想です

選定療養費は最後の実際の負担額から+7000円かかるものです(保険適応などではない)。さらに、処方箋を薬局に持っていき、実際の薬を受け取るときにはその薬代も別にかかります。

初診の病院で診療する=最低で3000円ぐらいの費用

はじめて医療機関をかかると初診料がかかります。主に問診と診察の料金と考えてください。病院の規模などで点数に幅がありますが、約250-300点前後となっています。マイナンバー利用導入などでも少し点数が変わります。

200床以上の大きな病院に直接初診をすると、選定療養費というものが要求され、病院ごとに設定されている料金を払う必要があります。これは保険で減額にはならないので、大き目の実費になります(5000~7000円程度が多い)

紹介状をかかりつけ医に記載してもらった後に大きな総合病院を受診する場合は、この大きな選定療養費は避けられますが、紹介状のためにかかりつけ医に一度受診したりする必要(紹介状のための費用や診察料はかかる)があるので、悩ましいところです。

症状の辛い風邪でかかるものとして仮定

診察まで終えて、採血検査・迅速検査(インフルエンザとコロナ)・画像検査、点滴と内服処方をされた条件とします。

迅速検査・採血検査の費用

迅速検査の代表格のインフルエンザウイルスと新型コロナウイルスの抗原検査を例に挙げます。今は両方とも測定できるキットが多く、大体3000円前後の実費負担となっています。コロナウイルスの場合PCR検査が有名でしたが、こちらは約4000-5000円前後と費用的には高めの検査となっています。

採血検査は、チェックする項目でそれぞれ変化します。ある一定以上の項目数にすると、上限の点数までしか算定はできなくなります(検査はできるが病院の利益が減る)。例えば、別記時:健診急病で受けることが多い採血検査で上げた項目を検査すると仮定します。

血算:WBC,RBC,Hb,Ht,Plt

血液生化学:AST,ALT,γGTP,BUN,Cre,T-cho,TG,HDL,LDL,Glu,UA,Alb

血漿蛋白免疫学的検査:CRP

→これらを風邪症状の時に検査する場合は、主に全身の臓器まで異常があるかどうかを判断したいので、一部は検査しなくていいこともあります。

最優先:AST,ALT,γGTP,BUN,Cre 

できれば検査したい:Glu,Alb,CRP

しなくてもよい:T-cho,TG,HDL,LDL,UA

実際にかかる点数は数年単位で変更されていくので、現時点では上記の項目を検査した場合、判断料などいろいろまとめていくと3割負担で1500円前後の予測になります。

画像検査

風邪症状で画像検査を考える場合は、肺炎の除外が目的になります。

胸部レントゲンは1枚~2枚撮影であり、実費負担は約800円前後に収まります

胸部CTまで行う場合は追加で実費負担として3000円前後となります。(設置してあるCTの性能の良さでも変化します)

点滴と薬代は?

点滴による脱水治療には、500ml点滴と仮定し、さらに解熱剤を使用する場合、今はアセリオ点滴静注液がよく使用されます。実費負担で約1000円前後になることが多いです。

処方箋料が最後に加算されて、病院内での処置に対してはすべてになります.

この後に、薬局で処方箋に書かれた薬を受け取りますが、その薬代はまた別の料金になります。

まとめ

風邪症状の場合で、これらすべての検査をすることは稀であり、費用面はもっと安価のはずです。ただ細かい内訳を知っておくことで、より納得感が出るのではないでしょうか。

診療報酬は2年に1度の改定が多く、時々算定方法などが変わるため、定期通院してても支払う額が変わることがあります。今回もあくまで、目安として受け止めてください。

検査や薬の内容など、それなりに費用がかかることは避けられないものです。検査の目的を確認してみて、それに合う費用かどうかも含め、医療者側と相談してみてもいいと思います。

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