医療に使う言葉の中に、実は似ているようでちゃんと区別したほうがいい言葉、第3回目。
あまり一般的には使わないため、気にせず同じ意味として使われていることも多いことでしょう。実は区別して考えると、より整理されて役立ってくれます。
第3回目として 健診 と 検診 と 人間ドック の違いを解説してみたいと思います。

健診?検診?おんなじじゃないの?

健診と対策型の検診が同時に行われていることもあるからね。
実は、意味が違っているんだよ。
意外と皆さん知らないこともあるかもしれないよ。
健診と検診の意味の違い
健康の「健」を使う 健診(健康診断):今が健康な状態かを調べること
検査の「検」を使う 検診(検査診断):特定の病気を早期に発見すること
健診のほうは、「あなたは今健康ですか」というのを確認する目的なので、役所や職場での定期健診が代表的で、時期も決められていることが多いです。新たな職場に入る前や保険に入るときに必要とされるのもこちらです。
特定の病気を探すわけではないので、健診が正常でも病気がないわけではありません。特に症状のない癌を探す項目は含まれていないことが多いため、健診が正常でも過信は禁物です。
検診のほうは、目的の病気を早く見つけるために行うものです。例えばがん検診が有名です。さらに検診には2種類あります。
- 対策型検診:対象の集団全体の死亡率減少を目的として実施
- 任意型検診:受診する個人の死亡率減少を目的に実施 ←人間ドックが当てはまる
対策型検診
公共的な予防策として行われるもので、科学的根拠が確立したがん検診ですという国からのお墨付きがあります。がん死亡減少効果が確実で、かつ、不利益を上回る利益を得られるものが行われています。以下が国が推奨している検査です。
- 胃がん検診:問診+バリウム検査 or 胃カメラ 50歳以上2年に1回
- 大腸がん検診:問診+便潜血検査(免疫法) 40歳以上年1回
- 肺がん検診:問診+胸部レントゲン+喀痰細胞診(50歳以上、タバコ多い方) 40歳以上年1回
- 乳がん検診:問診+マンモグラフィ 40歳以上2年に1回
- 子宮頚がん検診:問診+視診+子宮頚部の細胞診+内診 20歳以上2年に1回 30歳以上では行う自治体によって、HPV検査を行う場合(5年に1回)もあり。
これらは一定以上の精度を維持するために、精度管理なども役所や病院を中心とした組織で管理されています。
なお胃がん検診と大腸がん検診に関して、別記事でも詳しく解説しています。よろしければそちらもどうぞ。
任意型検診 人間ドックなど
対策型以外の検診がすべて当てはまり、医療機関などが行う人間ドックなど様々な種類があります。検診方法も行う機関が自由に決められます。ただし、無症状であることが検診の定義に必要です。
そのため、個人の意思で自由に細かな精密検査も受ける(CT検査、MRI検査、PET-CTなども可能なことも)こともできます。ただ費用も相応にかかります。あくまで、自分専用の検査を費用をかけてでもする、というものになります。
まとめ
健診:あなたは健康ですか という 問いに答えるために行う問診・診察・検査のこと
検診:目的の病気に対して、早期に見つけるために行う問診・診察・検査のこと
人間ドック:検診の中の任意型検診の1つ 個人の自由で幅広い検査に対応も費用もかかる。
死亡率が下がり、リスクも少ないことが科学的に証明できている検査については、公共のものとして、対策型検診となり、幅広く行われています。
それ以外の個別な検診を任意型検診といい、この中に人間ドックが含まれます。検査できる幅も自由にできる代わりに、費用もかかるかもしれません。
「けんしん」を受けたといっても、どんなものを受けたかを自分でも整理するとより自分の状態を把握できるようになりますね。


コメント