皆さんが、病院に初めてかかるときに必ず書く問診票。書いてある症状に〇をつけたり、空欄に自由記載したり、、と、病院ごとや同じ病院の中でも受診する専門科によっても違います。
そもそも体調が悪いのに、情報量の多い作業をするのは苦痛と感じる人も多いのではないかと思います。そこで、今回は問診票の中で記入すべき必要最低限なことから、記載してあると医療者側が助かる内容についても解説します。
これでつらい状態でも、医療者側に的確な情報を先に伝えることができ、この後の診察もスムーズになっていくはずです。
問診票に最低限書くべきこと
- 自分の症状 つらいものから順に3つ程度にしぼる
- その主たる症状(主訴とも言います)がいつから出たか。現在の状態は最初と比べてどうか
- 現在投薬している病気(既往歴の欄) かかっている病院名もわかればより良い
- 投薬している内容(お薬手帳があれば、それで代用 病院名もわかる)
これらはどの科でも共通して必要なことです。
やりがちなのは、症状の欄にいろいろ書いてある場合に当てはまるもの全てに〇をつけたり、自由記載の場合にずっと以前からの症状を記載してしまうことがありますが、実は逆効果かもしれません。
いろいろな症状を伝えたい気持ちや、診断の手助けになるかもとの気遣いからだと思いますが、総合病院だと多くの診療科があるため、症状を担当する科も分散している場合があります。そのため、予想外にいくつの科を受診することになったり、その都度同じ内容を言わないといけなかったりと、負担が増えることがあります。
そのため、原則一番つらい症状とそれに付随するであろう症状を2つ程度に絞ったほうが、スムーズに進むと思います。ほかの症状などは、診察時に伝えるか、医師などから聞かれたら答える程度にしましょう。
その主たる症状がいつから出たかと、今の状態と比べて悪化している?少し良くなっている?などの変化があるかが大事な点です。病気の勢いや重症度にかかわるためです。
今まで大きな病気は?と聞かれたり、既往歴と書いてあったりする欄があります。大きな病気と言われても、個人差がありますし、どの程度?と思われる方も多いのではないでしょうか。
一つの基準として、今治療している病気を記載するのがいいと思います。高血圧や高脂血症などの生活習慣病も入ります(意外と書かない人が多い)。飲んでいる薬もわかるようにしましょう(お薬手帳が良い)
薬のことを伝えるときに多いのがあの黄色の薬とかオレンジ色の、とかの外見で話してくれる方がいます。ありがたいことですが、残念ながら医療側でパッケージの色や外見で薬のことを区別するのは不可能です。後発薬(ジェネリック)も多種類となり、全部を把握できないためです。お薬手帳がないようなら、現物を持参しましょう。
問診票に記載してあると助かる情報
一番受診頻度が多いであろう内科・総合内科を基準にお話しします。ほかの科でも共通することもありますので、ここまで記載してもらうとありがたいものです。
- 食事・飲水ができているか
- 手術(全身麻酔をするレベルの手術。開腹手術や大きな関節の手術など)をしたことがあるか。
- 飲酒歴
- 喫煙歴(たばこの量)
- アレルギーの既往
- 女性の人限定:最終生理
- 一人暮らしか 同居している人がいるか
食事はともかく、飲み物も取れなくなっていると、衰弱スピードが速くなるので点滴を考えます。混んでいる場合でも、先に点滴をしてもらいながら待っていることもできるので、飲み物も取れずぐったりしていることは先に伝えたほうがいいです。(看護師などが先に気づいてくれることもありますが、混んでいたりすると気づかれない場合もあるため)
腹痛がある場合に、開腹手術をしたことある人は腸閉塞を考える必要が出てきます。また整形外科を受診する時に、以前骨折の手術をしたことがあるなら部位などを伝えたほうがよいでしょう。
飲酒・喫煙は内科の疾患の中で大きなリスクになることもありますので、大体聞かれることも多いですが、先に記載してしまうのがスムーズです。
アレルギーは、蕁麻疹ぐらいだと実際になにが原因かは確定できないことが多いので、細かい記載はしなくてもいいと思います。
薬によるアレルギーやピーナッツアレルギーのような強いアレルギー症状(アナフィラキシーともいいます)が出たようなものがあれば、先に伝えるようにしましょう。
アルコールで皮膚荒れが出る場合も伝えたほうがいいです(点滴や採血の消毒時にアルコール消毒が多いため)。
女性の生理について:記載するのも恥ずかしいと思いますが、腹痛の診察やレントゲンなどの放射線を当てる検査を考えるときに、妊娠の可能性 を考慮しないといけません。最後の生理、周期は変わらないかなども判断し、妊娠のことは確認しないといけないので、ご協力をお願いしたいところです。
高齢者の一人暮らしの場合が多いですが、帰宅した後に状況変化が素早く確認できないとなると、より慎重に診察や検査をすべき理由になります。そのため先に医療者側に伝えたほうがありがたいです。
賢い患者への第一歩 まとめ
最低限必要なこと
- 見てほしい症状を選択し、その出方と経過を書く+治療している病気と薬をわかるようにする。
- 飲み食いができているや飲酒・たばこ、アレルギーなど、上に書いてあることを記載する。
それ以外に、専門科特有の問診票の欄がある場合は、そこはなるべく記載したほうがスムーズになると思います。病院ごとに問診票は異なるので、必要な最低限は書けるようにする+全部の問診票に答えなくても大丈夫 という余裕も持てればいいですね。


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