第4回:口から食べられなくなった。代わりの方法ランキング 「自宅で長くいたい」編

口から食べられない代わり

第1回目では口から取れなくなった時に、代わりにする方法(別記事:第1回:口から食べられなくなった。ご紹介編)、第2回目では栄養的にどの方法が一番有用なのか(別記事:第2回:口から食べられなくなった。栄養編)、第3回目では、本人負担の面からどの方法が少ないか(別記事:第3回:口から食べられなくなった。本人負担編

今回はなるべく長く自宅で過ごすための方法として、ランキング形式で並べてみようと思います。並べるのは胃瘻、経鼻胃管、CVポート・中心静脈栄養の3つです。

自宅で介護する場合は、食事の問題だけではなく、排泄・移動など多くのサポートが必要な場合があります。実現できるかどうかは、それぞれの状況によりますので、今回のランキングはあくまで食事の代わりを中心に考えています。

胃ろう:自宅で行うには一番簡単で、安定する

消化管が使用できるのであれば、栄養経路として腸管を使うことが、本人の消耗を抑えることができる一番の方法です。さらに胃ろうであれば、周りのサポートもそこまで難しくなく対応でき、安定もします。食事を口から取れない状況で、自宅介護を考える場合は胃ろうができる場合は、第一選択になると思います。

もう一つの利点は、口周りに管がないため、少量でも経口摂取をするという本人の楽しみをかなえやすい点です。

ただし、消化管を使う場合に必ずセットになるのが痰がらみ・唾液の貯留の問題です。自分で唾液もうまく飲み込めなかったり、吐き出すことができない場合は、周りが吸ってあげる「吸引・吸痰」処置が必要になります。家族が中心に行わなければならないため、やり方など覚える必要があります。

胃ろうの交換に関しては、自宅で行えるものと、病院で行う必要があるものがあります。自宅で行う場合は、バルーン式の胃ろうで、月1回目安に訪問診療で対応します。病院で行う場合のものは4-6か月に1回の目安で、通院で交換します。

経鼻胃管:消化管は使える、口の中に管があるわずらわしさ・不安定さ

胃ろうではない方法で、消化管を使える栄養経路の手段です。ただ日常的に使用する場合、どうしても管が鼻から喉に入っている違和感は続きます。また舌や咳込みなどで管自体が動いてしまい、抜けてしまうというトラブルもありえます。

交換に関しては、月1回程度目安に、自宅で訪問診療の対応で可能です。ただ、入れにくい人や管がしっかり胃に入ったか確認するのにレントゲンも必要になる場合は、病院での交換も必要になります。

また管が入っているため、唾液の貯留などが胃ろうよりも多く問題になりやすいです。吸引回数も増えていく可能性があります。

中心静脈栄養:自宅ではCVポートが基本。直接留置は本当の短期間にとどめる

自宅で日常的に管理する上では、CVポートが基本になります。感染症の合併症が起きると自宅で過ごすのは困難になりやすいためです。また、直接留置するのは管理も煩雑で、家族が行うのはかなりハードルが高いと思います。そのため、少しでも管理がしやすい方法かつ感染合併症のリスクを下げる方法となると、CVポートになります。

栄養面で経腸栄養よりも劣りますが、消化管を使わないため、唾液の量は一番少なくできます。そのため吸引頻度は一番少なくできる可能性があります。

交換頻度もCVポートであれば、閉塞や感染がなければ、本体部分は使用できるため、定期的なものはありません。

CVポート部に針を刺す、周りの点滴ルートの管理など、家族がやることになりますが、胃ろうなどに比べると煩雑で、負担も大きいです。

まとめ:一番理想的なのは

1位:胃ろう

2位:CVポート

3位:経鼻胃管

長く自宅で過ごす目的という意味では、可能であれば胃ろうが第一選択になります。「唾液・痰がらみ」と「吸引・吸痰」の頻度がどのくらい必要かにはなりますが、ここが少なく、肺炎になることも最低限であれば、介護者の負担も含めて、理想的な形になります。

次に長く過ごせる可能性が高いのは、CVポートだと思います。介護者などの負担は大きくなりますが、吸引処置は最低限、もしくは不要になる可能性もあります。栄養面では消化管利用よりも劣りますが、消耗もなるべく少なくできる選択肢になります。

経鼻胃管は栄養面ではCVポートよりも望ましい形ですが、やはり不安定さと「唾液・痰がらみ」と「吸引・吸痰」の頻度の問題があります。ある程度自分での嚥下力が残っていればまだよいですが、胃ろうもできるがあえて経鼻胃管で自宅介護をするという選択は、あまり現実的ではないと思います。余命が短期間であったり、胃を手術しているなどの胃ろうができない理由がない限りは選択することはお勧めしません。

今回は長く自宅にいるための方法として、ランキングしてみました。

次回は番外編として、これらの口から食べられなくなった代わりの方法をしないで自宅に帰った場合、どのような状態になるのか、またほかの方法はあるのかを解説したいと思います。主に終末期の状態に対してになります。

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