病院でかかる医療費のお話 第2回:インフルエンザだった時に、いくらかかるの?

医療費

いままでは沖縄など南のほうでは夏場のインフルエンザ発症が時々ありましたが、2025年10月現在は、東京でもインフルエンザが流行期に入ったと発表がありました。あわせて、病院の外来でもインフルエンザの方が増えてきている状況です。

今回はインフルエンザの時にかかる費用を、病院の診療費+インフルエンザの薬と合わせて解説したいと思います。診療費は、各病院で少し異なりますが、おおむね一定の額になります。インフルエンザの薬代が種類によって差額が出てきますがその所をお話しします。

インフルエンザと診断されるときにかかる病院での診療費

病院に受診した時にかかる医療費は、別記事:病院でかかる医療費のお話第1回でも解説しています。今回の場合は、風邪症状+インフルエンザ迅速検査とコロナ抗原迅速検査の2つだけ検査をした、処方箋のみ発行して終了のパターンとします。

検査料金は2つの迅速検査だけです。検体採取や検査判断料も含めると、だいたい6000円前後の総額(保険点数では600点前後)になると思います。この3割負担になるので、おおよそ2000円前後の自己負担になる予想です。

インフルエンザで用いる薬:内服、吸入、点滴まで

共通する症状に対しての薬代

インフルエンザの症状で共通するのは、発熱・疼痛です。使用するのはアセトアミノフェン(カロナール)が使用されます。だいたい成人では500mg×1錠/回を1日3回で5日分の処方としています。薬価は合計で約170円程度です。

ほかに咳にデキストロメトルファン(メジコン錠)で15mg×2錠/回を1日3回5日分で約200円のどの痛みでトラネキサム酸(トランサミン)を250㎎×1錠/回、1日3回5日分で約150円です。3割負担に換算すると1種類あたり50-60円の実費負担になると思います。

どのくらい症状対応するかによりますが、共通する薬の価格は後発品が主体でもあり、かなり低い額になっています。

薬局に対しての手間賃:調剤基本料や指導料など

処方箋を持って薬を受け取るときにかかるお金の中に、薬局に対しての手間賃がかかります。調剤基本料や指導料などがあたり、これも各薬局で多少の違いがありますが、約1000円(保険点数100点前後)かかります。3割負担とすると、300円前後が実質の負担となります。

インフルエンザに使う抗ウイルス剤:内服、吸入、点滴

内服薬:タミフルとゾフルーザ

  • タミフル:1日2錠、5日分 実費:約330~550円(後発品だと安い)
  • ゾフルーザ:1日2錠1日分 実費:約1600円(子供だと1錠、80㎏以上では4錠必要)

薬の中で以前より使われたものがタミフルです。先発品は約200円/錠、後発品は約100円/錠前後の薬価です。長く使用されている分、効果や安全性もデータの蓄積があります。一方で10代のインフルエンザ患者に使用すると精神症状が多く出たときがあり、10代の使用は控えるような通達もありました。はっきりした因果関係は結局不明となりましたが、現在も使用を控えることが多いかもしれません。

2018年より新たな内服薬が発売になりました。タミフルとは異なるウイルス増殖抑制をする薬で、利点は1日1回で終わること、効果もタミフル5日分と同等に維持されるというものです。タミフルより効果が早く出る可能性もいわれています。一方で新しい薬でもあり、薬価は同じ系統の薬と比べたら高いこと、耐性ウイルスが出る可能性のある事が懸念されています。今のところ、薬の副作用で精神症状が多発する報告もなく、10代では使用しやすい薬の1つになります。

吸入薬:リレンザとイナビル

  • リレンザ:1日2回1吸入ずつ 5日分 実費:約350円
  • イナビル:1日1回2吸入   1日分 実費:約1300円

以前はリレンザだけしか吸入薬はありませんでした。飲み込めなくても吸うだけで治療できる、内服薬で副作用があった時などには選択されていました。ただリレンザは使う手間があること、牛乳アレルギーがあると、過敏反応が出る可能性があることなどが注意点としてあります。

2010年に1日吸入するだけでよい吸入薬イナビルが発売されました。2回吸うだけで終わることが利点ですが、うまくいかなかった場合のリスクがあります。薬価もそれなりの高額のため、咳がひどい人などには、避けた方がいいかもしれません。

点滴薬:ラピアクタ

2010年に初の点滴治療薬ができました。基本は1回で終了。症状が持続する場合は5日間まで1日1回ずつ使用できます。1本当たりの薬価は3割負担で約2000円です。さらに点滴処置なので、医療機関でやる必要があること、点滴手技代もかかることです。他の薬よりも高額ですが、確実に投与できること、重症の場合でも追加投与できることが利点です。

まとめ

どの薬形態でもインフルエンザウイルスに対する薬に期待できる効果は、

  • 発症後48時間以内に投与することで効果的
  • 効果は症状の軽快速度を1-2日早くする
  • 肺炎などの2次合併症を予防する効果

この3つが主な目的になります。劇的な特効薬ではないので、薬がなくても自分の免疫でよくなることも多くあります。

費用的には、症状対応の薬を3種類使うものとすると

インフルエンザ薬以外の実費:約2500円(病院受診費用+症状緩和の薬3種類分)

  • タミフルリレンザ:約350円追加
  • イナビル追加:約1300円追加
  • ゾフルーザ追加:約1600円追加
  • ラピアクタ点滴:約2500-3000円の追加 

合計で約3000円から6000円前後の間になる予測です。薬の種類やどの薬を使うか、他の検査などもするのかで実費負担はまた異なります。

価格順ではラピアクタ>イナビル、ゾフルーザ>タミフル、リレンザですが、効能自体ではっきりと効果に差があったエビデンスを証明されたものはありません。ただ利点・欠点はそれぞれあるので、自分の中の知識としてこれらの情報を踏まえて治療薬を相談してみてください。

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