番外編:口から食べられなくなった。代わりの方法は?終末期に選択する方法

口から食べられない代わり

今回は、番外編として今まで紹介した「口から食べられなくなった代わりの方法(胃瘻や経鼻胃管、中心静脈栄養)をしない場合に何か方法があるのか」を解説したいと思います。主に終末期の状態に対しての方法です。

末梢点滴:一般的なもの

点滴をする一番の目的は、「脱水症の改善・予防」です。別記事:点滴だけで健康的に生きていけるか?で詳しく解説しました。

利点

  • 病気が出てきたときや、状態変化があったときなどに合わせて投与量が調節可能
  • 手技が簡便

欠点

  • 長期の維持が困難:栄養面での不足、同じ点滴ルートは数日が限界
  •          穿刺できる血管の減少
  • 自宅での管理は難しい

終末期になるべく維持するという目的には、そぐわない方法です。

皮下点滴:なじみは少ないが、終末期には検討余地あり

点滴の針先を血管の中ではなく、皮下組織に入れて、皮下組織にゆっくりと水分(電解質入り)や一部の薬を入れていく方法です。血管の中ではないので、吸収自体は数時間以上ゆっくりと行われます。主な留置先は腹部正中や前胸部、両側の肩近くなどが選択されます

利点:

  • 皮下組織なら基本可能なので、穿刺できる部分が広い
  • 針先が血管ではないので、多少ずれても問題ない
  • 手技自体も簡便

欠点:

  • 投与できる量は限られる:水分なら500-1000ml/日 薬も一部のものだけ
  • 皮下組織とはいえ、針があるという違和感
  • 状態変化したときに、追加で点滴するといった変化に対応しにくい

終末期に必要な水分量は500-1000ml/日で十分であり、使用できる薬も鎮痛剤、鎮静剤、一部の抗生剤も皮下投与できるため、終末期対応の緩和ケアという意味では、皮下点滴で十分対応可能といえます。なじみが少ないという欠点がありますが、徐々に対応している訪問診療なども増えているのではないかと思います。

点滴もしない:一番自然な形

なかなかここまでする方は、現状でかなり限られます。終末期に点滴もしないという選択は一番自然な形を望んでいるとも言えます。

しかし、平均的な余命は本当に水分補給がない状態だと数日から1週間ほどと推測されます。本人が良くても、周りの家族はその状態を見ているのがつらくなっていくこともよくあります。まだ、なかなか選択されづらい方法と思います。

まとめ

皮下点滴:終末期に選択されてもいい手段の一つ

末梢点滴:終末期に短期的なら許容、1か月以上になりそうなら別手段を検討

この二つの方法で、現在のところ余命に大きな差は出なかったという報告がされています。具体的な期間については、まだ不明なところが多いです。100日以上継続して行えたという例も報告されています。

中心静脈栄養との差も検討されていますが、まだはっきりした報告はないようです。とはいえ、自宅でも管理可能な手段として選択しうる方法があることは、望ましいことです。

基本的には今まで解説した胃瘻、経鼻胃管、中心静脈栄養で検討することが多いのですが、今後はこの皮下点滴も終末期の対応として、選択していくことが多くなっていくかもしれません。

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