実は区別すべき医療言葉2 下血・血便・黒色便

病院用語の違い

医療に使う言葉の中に、実は似ているようでちゃんと区別したほうがいい言葉があります。

あまり一般的には使わないため、気にせず同じ意味として使われていることも多いことでしょう。実は区別して考えると、より整理されて役立ってくれます。

なお第1回目は訪問診療と往診の違いも解説しています。よろしければこちらの記事もどうぞ。

訪問者さん
訪問者さん

便に血が混ざったら、下血っていうよね。赤いと血便?

何か違うの?

管理医師
管理医師

病院の人でも、混同して使っている人が多いです。一度はっきりと区別してみましょう

まず、大きなくくりとして 下血 があります。血がついている便が排出されたこと という定義ですので、消化管のどこかから出血した ということになります。

消化管のどこから というのは定義されていませんが、慣例的に口に近いほうからの消化管(食道・胃・十二指腸)からの出血を指して使われていることが多いです。ここが混乱しやすいところではないかと思います。

訪問者さん
訪問者さん

じゃあ、黒色便と血便は?色の違いだと思いますけど。

管理医師
管理医師

基本的には色の違いで区別するね。だけど、この違いで出血している消化管の場所を推定することができるんだよ

黒色便は 黒い便という意味ですが、より明確にすると 墨汁をかけたような便 です。以前よりコールタールに似ていることから タール便 とも言われています。黒い という強いイメージです。

一方 血便は、赤みのある便が排出されたときに使います。完全に真っ赤からやや赤黒い色の便から幅広い色が当てはまります

この二つの違いがなぜできるのでしょう。

血液は胃酸や消化酵素に触れると分解・酸化されることで、血液の中の鉄分が黒色の成分に変化していきます。通常は数時間から数日かかって、黒色に変化します。

胃や十二指腸などの口に近い消化管から出血すると、血液を変化させる物質が多く、肛門までの距離も長いため、黒色になりやすい環境が整っていることで 黒色便に変化して排泄されていきやすいのです。

大腸からの出血では、黒色にする消化酵素が少ないことや肛門までの距離が短く、通常は1日かからずに排泄されるため、黒よりも赤の成分が混在する便が排泄されやすいのです。

以上から、便の色から出血部位が推定され、その後の検査の優先度も考えやすくなります。

管理医師
管理医師

黒い便→胃カメラ 赤い便→大腸カメラ といった具合だね

ただ、緊急でやるべきかどうかは本人の状況と推定される病気次第になるよ

特に大腸カメラを緊急でやるには、事前準備をするかどうかもあるからね

まとめ

  • 黒色便:口に近い消化管(食道・胃・十二指腸)から出血した血液が付着した便
  • 血便:肛門に近い消化管(主に大腸、小腸末端)から出血した血液が付着した便

以上は 目で見てはっきりわかる便の異常についてのお話 でした。

便潜血という検診で行う検査で使うものがありますが、これは目で見えないレベルで便に血液が付着しているかどうかをみるものです。よろしければ記事:便潜血で大腸がんを見つけようもご覧ください。

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