健康診断を受けるときに、腹部超音波検査(エコー検査)が含まれていることがあります。
地方自治体主導の健康診断では少ないかもしれませんが、職場主導の健康診断(人間ドック)には含まれていることがあります。
腹部超音波検査(エコー検査)は結構有用な検査だとご存じでしょうか。
腹部レントゲンの情報量より、より精密なところを確認できる能力があります。
しかも検査をすることによる体の負担もないため、もし健康診断で受けられるようなら、お薦めします。
「何歳ぐらいになったらやったほうがいいの?」
「腹部エコー検査って食事した後だとできないの?」
「ぐりぐりされるって聞いたけど、本当に痛くないの?」
「健診以外でやるといくらぐらいかかるの?」
など、検査の内容以外にもいろいろな疑問があると思います。
このページだけで全ての疑問が解消しますので、安心してください
実際にどんなことがわかるのか。今回は腹部超音波検査(エコー検査)でわかることを解説します。


腹部超音波検査(エコー検査):見えるところは肝臓、胆のう、すい臓(一部)、脾臓、腹部大動脈、腎臓、膀胱、前立腺、小腸(一部)
腹部超音波検査(エコー検査)は、おなかの表面にゼリーをぬって超音波が出る装置と体を密着させて、体の中の臓器を映像化するものです。
空気の中には超音波が入っていかないので、空気がたくさんあるところには効果が弱くなります(正常な肺はほとんどわからない)。
よって見えるところは、空気がないところ:塊の臓器や液体が中にたまっている腸管(一部)などがよくうつります。
食事をしてしまうと、胃の中へ食べ物のほかに空気も入ってしまいます。
それが腸管の中にも流れてしまうので、全体的に空気がおなかの中にたまっている状況になります。
その場所は超音波が入っていかないので、全体的に不鮮明になります。塊である肝臓や腎臓はまだ何とか見える場合がありますが、
膵臓や腹部大動脈、胆のう(食事をすると消化液を出すために胆のう自体が縮んでしまう)は食後ではほとんど見えなくなりがちです。
結論:食後のエコーは、検査する意義が半減。
症状があるときは、何かしら情報を得るために行う場合はありますが、健康診断で受けるときは、しっかり検査できる状態で行うことが重要です。
肝臓:みぞおちから少し右側にある大きな臓器
肝臓に超音波(エコー)をあててよく指摘されるものは
- 肝臓の大きさ:大きくなっていると肝炎の可能性、小さくなっていると肝硬変の疑い
- 肝嚢胞:肝臓の中に液体がたまっている袋。基本は良性、大きさもほとんど変わらない
- 脂肪肝:正常な肝臓よりも白く見える。右腎臓との色を比較→白だと指摘される
- 肝腫瘍:良性なものは血管腫と呼ばれるもの(太めの血管がその場所に固まって存在する。大きさはほとんど変わらない)が多い。しかし、肝細胞癌(肝癌)や肝臓に転移した転移性腫瘍も同じようにうつる。健診のエコーでは、完全に良性・悪性の区別はつけられない。
病気も含めればほかにもありますが、健診で指摘されやすいのはこのぐらいです。
胆のう:肝臓のそばにある袋
- 胆石・胆砂:胆のうの中に白い石もしくは砂のようなもの。姿勢を変えると動く。
- 胆のうポリープ:胆のうの中に白いものが壁から生えている。姿勢を変えても動かない。基本は良性のものが多く、10㎜以下ならエコー再検、それ以上だと胆のう癌の可能性を考慮する必要→ほかの検査での評価へ
- 胆のう壁肥厚:胆のうの壁が正常よりも厚くなっている。良性なのは胆のう腺筋症と呼ばれるもの。胆のうがんでも壁が厚くなるため、状況によりほかの検査での評価が必要。
膵臓:体の中央にある臓器。見たいけど、表面からのエコーで見えにくい
膵臓は体の中央にあり、前には超音波の敵である空気を含む腸管や、内臓脂肪に囲まれており、すべてをエコーで見るのはかなり難しいです。
よって見えた一部分で判断をします。
- 膵のう胞:膵臓の一部に液体がたまっている袋があること。これ自体は良性。
- 膵管拡張:エコーで見えるのは主膵管と呼ばれる膵臓で一番太い消化液が通る管です。この膵管が拡張している→膵管の先が狭くなっているとなるので、癌の疑いをかけます。
何か異常が見つかったときは、別の検査での多角的な評価も検討されます。
脾臓:左上腹部にある臓器 古くなった赤血球を壊したり、免疫機能をしていたりする
エコーでは脾臓の大きさを見ています。脾臓が大きい=肝疾患・血液疾患などを考えます。
腎臓・膀胱・(前立腺):尿が作られ、通るところ
腎臓は左右に1個ずつ、膀胱と前立腺(男性のみ)は下腹部にあてるとうつります。
- 腎のう胞:腎臓にできた液体がたまっている袋。基本的には良性であるが、遺伝的に過剰に多発することから、腎不全になるものもある。
- 腎結石:腎臓の一部に白い石灰化したものがうつる。腎臓の中にいる間は症状なしだが、尿管に転がると尿管結石となり、激痛の要因となる。
- 水腎症:腎臓から尿が流れ始めるところが拡張し、腎臓の中央が欠けてしまっているように見える。尿の通り道のどこかがふさがってしまっている可能性がある。
- 腎腫瘍:良性から悪性まで幅広くあるため、他の検査での評価が必要。
大動脈・小腸:全部はうつせないが、はっきりうつってしまうと病気かも
腹部大動脈は、通常20mm前後の管ですが、途中で30mm以上に太くなっていることもあります。
これが大動脈瘤であり、腹部の場合は50-55mm以上になると破裂するリスクが高まるため、何らかの治療介入を勧められます。
小腸は、正常であれば液体と空気が混在しているため、エコーでははっきり見えません。
しかし腸閉塞であると空気の部分がすべて液体に置換されて、小腸が拡張するのでエコーではっきり確認できるようになります。
むしろエコーではっきり見えたら、何かしらの病気があるかもしれないと考える場所です。
健診の時は無症状なので、小腸はほとんど見えません。

健診で腹部レントゲンと腹部超音波検査(エコー検査):どちらが有用か
腹部レントゲンでわかることは、無症状であればせいぜい便秘ぐらいです。詳しくは別記事:腹部レントゲンでわかること も参考してください。
一方で腹部超音波検査(エコー検査)では、超音波をあてた各臓器に関連した疾患がわかる可能性もあります。
無症状な疾患も多いので、エコーで初めて気づかれたという場合も多くあります。またレントゲンと異なり、放射線もあてないので、体への負担もありません。
強いていえば、ゼリーをぬるので、冷たくてくすぐったい感じがあるのと、肋骨の下を少し強めに圧迫して機械をあてるので、その時に痛みがあるかもしれません。
皮下脂肪が多い人は、機械を強めに押し当てて、何とか脂肪をよけようとするので、この時に「ぐりぐりされて痛かった」と思うかもしれません。
ただ全体的に痛みを強く伴うことは少なく、検査としての有用性も高いと思います。
このため、健康診断で腹部レントゲンを採用されているところは少なく、腹部に関して行うなら、超音波検査になっています。
まとめ
生活習慣病や、悪性腫瘍の可能性が少しでも上がってくる年代=40代以上になったら、一度は腹部超音波検査(エコー検査)を考えるようにしましょう。
それ以外でも、肝障害がある、飲酒が多い、生活習慣病がすでに出ている、背中やみぞおちの痛みがあるなどのときは、年齢に関係なく検査を考えてみましょう。
費用は保険診療の場合、エコー検査のみの費用(3割負担)で1500-2000円前後となります。初診料なども加味されると、もう少し実費はかかりそうです。
腹部Xpよりは費用はかかると思いますが、有用性は腹部超音波検査のほうが高いです。
皆さんも、もし腹部超音波検査が健康診断にあり、費用もそこまでかからないようなら、ぜひ一度やってみることをお薦めします。



コメント