【糖尿病の運動療法】血糖値をコントロールする効果的なやり方と注意点

医療

糖尿病の治療において、運動療法は食事療法と並ぶ「車の両輪」のような存在です。

「運動が体に良い」ことは分かっていても、具体的に「いつ」「何を」「どれくらい」すれば良いのか迷っている方も多いのではないでしょうか。

初心者の方でもわかりやすく、かつ医学的な根拠に基づいた「糖尿病のための運動療法ガイド」を解説していきます。

この記事では、無理なく続けられ、かつ効果的に血糖値を下げるための運動療法のポインㇳがおさえられると思います。

【保存版】血糖値を下げる!糖尿病のための「運動療法」基本ガイド

「血糖値が高い」と指摘されたとき、まず思い浮かぶのは食事制限かもしれません。

しかし、実は「運動」こそが、天然の血糖降下薬といっても過言ではない効果を持っています。

なぜ運動が効くのか、どのような運動がベストなのか。無理なく続けられるコツと合わせてお話しします。


1. なぜ運動が必要なのか?(2つの効果)

運動には、血糖値に対して**「即効性のある効果」「長期的な体質改善効果」**の2つのメリットがあります。

① 急性効果(今の血糖値を下げる)

運動をして筋肉を動かすと、血液中のブドウ糖が筋肉に取り込まれ、エネルギーとして消費されます。

これにより、食後の血糖値の上昇を直接的に抑えることができます。

② 慢性効果(インスリンが効きやすい体になる=体質改善)

運動を継続すると、血糖値を下げるホルモンである「インスリン」の効きが良くなります。これを**「インスリン抵抗性の改善」**と呼びます。

筋肉がつくと、ブドウ糖を貯蔵できるタンクが大きくなり、太りにくく血糖値が上がりにくい体質に変化します。

さらに脂肪も減っていくので、体が自然と血糖値をコントロールしやすい状態へと変化していきます。


2. どんな運動をすればいい?

糖尿病の運動療法では、大きく分けて以下の2種類の運動を組み合わせるのがベストです。

有酸素運動:脂肪と糖を燃やす目的

レジスタンス運動:筋肉をつける目的

運動の種類具体例目的・効果
有酸素運動ウォーキング、ジョギング、水泳、自転車全身の筋肉を使い、脂肪と糖を効率よく燃焼させる。
レジスタンス運動
(筋力トレーニング)
スクワット、腕立て伏せ、ダンベル運動筋肉量を増やし、基礎代謝を上げる。糖を取り込む「タンク(筋肉)」を大きくする。

ポイント:

有酸素運動だけでなく、週に2〜3回程度の「筋トレ」を加えることで、より高い改善効果が期待できることが近年の研究でわかっています。


3. 「いつ・どれくらい」やるべき?

① タイミングは「食後1〜2時間」

空腹時よりも、食後1〜2時間後に行うのが最も効果的です。

食事によって上がろうとする血糖値=血糖値のピーク(食後高血糖)を、運動によって抑え込むことができます。

  • ※空腹時に激しい運動をすると、低血糖になる恐れがあるため注意が必要です。

② 頻度は「週3回以上」

運動によるインスリンの効き目を良くする効果は、約3日で低下してしまいます。

そのため、できれば毎日、少なくとも週に3日以上行うのが理想です。

「2日以上休みを作らない」ことを意識しましょう。

③ 強度は「ややきつい」と感じる程度

ダラダラと歩くよりも、**「ニコニコペース(笑顔で会話はできるが、歌うのは無理な程度)」**で歩くのが目安です。

この強度が一番脂肪燃焼効果がよく、安全にできます。

少し息が弾み、汗ばむ程度の強度が推奨されます。

  • 時間の目安: 1回20分〜60分、週に合計150分以上を目指しましょう。
  • (10分×3回など、分割しても効果はあります)

④要注意:運動を始める前のチェックリスト

運動は良いことづくめでありますが、場合によってはリスクになることもあります。

以下に当てはまる人は、必ず主治医に相談して許可が出てから始めましょう。

  • 血糖コントロールが極端に悪い方→運動することで起こる体の負担に耐えられず(乳酸がたまる、脱水になるなど)、急激な症状が出る可能性があります。
  • 合併症がある方→増殖性網膜症、腎不全、自律神経障害、足の壊疽などがあると、合併症の症状が悪化する場合があります。
  • 心臓病や骨・関節の病気がある方:運動の負荷による症状の悪化リスクがあります。

4. 三日坊主にならないための「継続のコツ」:日常生活でできる「+10(プラステン)」

ジムに通ったり、専用のウェアに着替えたりするのが億劫な場合は、日常生活の活動量を増やすことから始めましょう。

厚生労働省も推奨している**「+10(プラステン:今より10分多く体を動かす)」**がキーワードです。

  • エスカレーターではなく階段を使う。
  • 通勤時に一駅分歩く。
  • テレビを見ながらスクワットをする=ながら運動の勧め
  • 掃除機かけや庭仕事も立派な運動です。

体重、歩数、血糖値を記録すると、変化が目に見えるようになりモチベーションの維持につながります。


5. 絶対に守ってほしい「注意点」

糖尿病の状態によっては、運動が逆効果になったり、危険を伴ったりする場合があります。以下の点に十分注意してください。

① まずは主治医に相談する

特に、合併症(網膜症、腎症、神経障害)がある場合や、心臓に持病がある場合は、運動制限が必要なことがあります。

自己判断で始めず、必ず医師のメディカルチェックを受けてください。

② 低血糖への備え

インスリン注射や特定の飲み薬(SU薬など)を使用している方は、運動中に血糖値が下がりすぎる「低血糖」のリスクがあります。

  • 必ずブドウ糖やジュースを携帯する。
  • 「低血糖カード」やIDカードを持ち歩く。

③ 足のケア(フットケア)

糖尿病の方は足の感覚が鈍くなりやすく、靴擦れなどの小さな傷から壊疽(えそ)に繋がることがあります。

  • 足に合った靴を履く。
  • 運動の前後に、足に傷がないか確認する。

まとめ:継続こそが最大の治療

糖尿病の運動療法で最も大切なのは、**「がんばりすぎないこと」**です。

いきなり激しい運動をして3日でやめてしまうよりも、軽い散歩を長く続ける方が治療効果は高くなります。

「今日は天気がいいから少し遠回りして帰ろう」

そんな小さな積み重ねが、将来の健康な体を作ります。まずは無理のない範囲から、最初の一歩を踏み出してみましょう。

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